レゾナンスー共鳴ー

さて、大阪港。
ながらく住んでいた場所で、私の二十代〜三十代の思いはここの某所にあるマンションの一室に未だに漂っているような気がします。
大阪港の駅に降りるたびに、ちょっと心が騒ぐのを感じます。


大阪港と言えば、海遊館サントリーミュージアム
私は両方とも大好きで、度々足を運びます。
しかし、残念なことにサントリーミュージアムは今年いっぱいで閉館となるようです。
これまでも良質な企画展を提供してくれる美術館だっただけに惜しまれます。


サントリーミュージアムで、現在開催されているのが
『レゾナンスー共鳴ー人と響き合うアート』
http://www.suntory.co.jp/culture/smt/gallery/index.html
です。
チラシの展示作品画像をざっと見て、正直あまり興味がわかなかったので、どうしようかと思っていたのですが、たまたま時間が空いたので、出かけてみることにしました。

で、これが、、、良かったのです。
まずは、マルレーネ・デュマスの人物画。少ない筆の数で、何ともいえない感情をたたえた顔を描いていて「これ好きだなぁ」と。
ここで、ずいぶんこの企画展の世界にどっぷりはまることができました。
そして、かなり感動したのが、ジャネット・カーディフの『40声のモテット』!40人の聖歌隊の声が、円形に置かれた40本のスピーカーから一人ずつ再生されるという作品なんだけど、これが、音の立体感が感じられてすばらしかったです。またこの作品の展示室からは、大阪港を見下ろせ、ちょうど夕方だったこともあって、日がだんだんと落ちて行くのを見ていると、作品の音とあいまって何ともいえない気持ちになりました。


ほかにも、ヴォルフガング・ライプの『ミルク・ストーン』、あると思わなかったのでラッキーだった草間彌生さんの網の目シリーズ《No.AB》など、ほんと興味深い作品ばかりでした。


サントリーミュージアムのことを書き始めると、つい大阪港で暮らしていた頃を思い出してしまう。
あの頃の自分と今の自分も響き合っているのだろうか。
二十代より三十代四十代と、少しずつ幸せを感じることができるようになって、
それでも、未だに刺すような心の痛みも同居している。
今なら、あの頃の自分の心と対話できるのかもしれない。